【実務向け】調剤薬局で実際に多い返戻事案まとめ
調剤薬局の現場では、レセプト請求後に「返戻(へんれい)」が発生することは日常茶飯事です。どれだけ注意を払っていても、処方内容の解釈違いや入力ミス、制度理解の齟齬により、返戻が生じることがあります。
ここでは、現場で**実際に見られる「返戻事案」**を項目別に紹介します。再発防止のための確認資料や、事務・薬剤師の連携チェックに活用ください。
処方内容・日付関連
- 処方日と調剤日の乖離が長すぎる ← ???? なんぞこれ
→「処方日:1日、調剤日:15日」のように開きがあり、理由の記載がない - 処方箋使用期間の超過 ← さすがにない
→使用期限(通常4日)を過ぎて調剤された処方箋を請求している
- 服薬終了予定日を超えて同一薬剤が短期間で再度処方
→早期再来の理由が記載されていない/重複投薬と判定される
薬剤・算定内容関連
- 同一成分で剤形違いの薬を複数処方し、併用不可と判断された
→例:アムロジピン錠+OD錠の併用など - 一包化加算の請求時に医師の指示が確認できない
→備考欄等に「一包化指示」記載がないまま加算請求 - 後発医薬品加算の対象外薬剤を請求していた
→後発品なし薬なのに「後発医薬品使用体制加算」を算定 ← ???
患者情報・保険関連
- 負担割合の入力ミス(例:1割と3割を間違えた)
→後期高齢者証や限度額認定証の確認漏れ - 保険証の記号・番号違いによる返戻
→数字の誤転記や旧保険情報での請求 - 保険種別と請求内容の不一致(労災/自費/公費など)
→労災処方箋を健康保険で請求している等
加算関連
- 外来服薬支援加算や服薬情報提供料の条件未満での請求
→薬歴に患者の支援内容が明示されていないため、査定対象に - 麻薬加算・向精神薬加算の請求ミス
→対象薬剤でないにもかかわらず加算が入っている - 夜間・休日加算での「時間帯」誤認
→休日でない時間帯に夜間加算を請求している
処方内容の矛盾・レセ電算上の不整合
- 剤型・規格の誤入力(例:5mg錠を10mg錠として請求)
→薬歴上は5mg、レセプトは10mgで請求されている - 併用禁忌の薬剤が並存していて返戻(例:NSAIDs+特定降圧薬)
→医師の説明や経過の記録がレセプトにないため疑義扱いに - レセプト摘要欄の空欄による自動返戻
→注釈必要な薬剤・加算項目にコメントなし
その他
- 疑義照会後の変更処方を記録なしで請求
→医師の指示を受けて内容を変えても、処方箋控えや薬歴が連動していない - 処方箋の記載不備(例:日数、用法、医師印の欠落)
→不備を補わず請求すると返戻対象に