✅ 医薬品の分類と管理
● 普通薬(一般的な医療用医薬品)
- 特別な指定のない医薬品
- 表示:「医療用医薬品」(黒文字)
- 保管:特別な制限なし。一般棚で整理されていれば可
● 劇薬
- 強い薬理作用を持つため、誤用防止のための区別が必要
- 表示:白地に赤枠、赤文字で「劇」
- 保管:施錠義務はないが、他の薬と明確に区別すること(専用棚や赤テープ区画など)
● 毒薬
- 非常に強い毒性を持つため、誤用時の健康被害が大きい
- 表示:白地に黒枠、黒文字で「毒」
- 保管:施錠できる保管設備が義務。他薬との混在不可
- 帳簿管理:不要(ただし誤用防止策は必須)
● 向精神薬
- 精神・神経作用があり、依存性・乱用の懸念がある
- 表示:「向精神薬」の表記(明確な色規定はない)
- 保管:法的な施錠義務はないが、施錠・数量管理が推奨される
- 帳簿管理:あるやつもある
● 麻薬 ← 徹底した管理必要ってこと
- 強力な鎮痛・抑制作用。法的に厳格な管理対象
- 表示:赤文字「麻薬」+国からの識別番号
- 保管:金属製の鍵付き保管庫での施錠管理が義務
- 管理者:麻薬管理者の選任が義務
- 帳簿管理:必須(入出庫・在庫すべて記録し、2年間保管)
げきやく、げきぶつ・どくやく、どくぶつがあるので注意
✅ 劇物・毒物の分類と管理(毒物及び劇物取締法に基づく)
● 劇物(毒劇法上の「劇物」)
- 定義:急性毒性などが中程度以上の化学物質
- 適用法令:毒物及び劇物取締法
- 表示:白地に赤枠、赤文字で「劇物」
- 容器への表示:
- 「劇物」の赤字表記
- 製造業者名、成分、使用上の注意、応急処置法など
- 保管:
- 他の物と区別して保管することが義務(混在禁止)
- 施錠義務はないが、誤飲防止のため子供の手の届かない場所などに配慮
- 帳簿管理:不要(ただし販売記録義務あり)
- 販売:
- 一般人には販売不可
- 購入者の氏名・住所・使用目的の記録が義務
● 毒物(毒劇法上の「毒物」)
- 定義:少量で生命に危険を及ぼす高毒性の化学物質
- 適用法令:毒物及び劇物取締法
- 表示:白地に黒枠、黒文字で「毒物」
- 容器への表示:
- 「毒物」の黒文字表記
- 成分名、製造業者、警告文、応急処置法など
- 保管:
- 施錠できる設備に保管することが法的義務
- 鍵の管理者を指定することが望ましい
- 帳簿管理:不要(販売記録は必要)
- 販売:
- 一般人には原則販売禁止
- 法人・許可業者への販売時、詳細記録が必要
✅ 医薬品と毒劇物の混同を避けるために
分類 | 適用法 | 対象例 | 表示 | 保管義務 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
劇薬(医薬品) | 医薬品医療機器等法 | 調剤薬(処方薬) | 赤文字「劇」 | 区別保管(施錠不要) | 医師の処方前提、薬局で調剤可 |
劇物(化学品) | 毒物及び劇物取締法 | 洗浄剤・防腐剤など | 赤文字「劇物」 | 区別保管(施錠不要) | 販売記録・購入者確認が必要 |
毒薬(医薬品) | 医薬品医療機器等法 | 一部医療用薬品 | 黒文字「毒」 | 施錠義務あり | 調剤には医師の処方が必要 |
毒物(化学品) | 毒物及び劇物取締法 | 農薬・試薬など | 黒文字「毒物」 | 施錠保管義務あり | 高毒性/販売制限あり |
✅ 現場での注意点(薬局事務・職員向け)
- 「劇物」や「毒物」と書かれた薬剤・洗浄剤・備品は、薬剤と混同しないよう、明確にラベル管理・保管棚を区別
- 医薬品と異なる法律に基づいて管理されているため、在庫チェックや誤用の防止策が異なることを理解しておく
- 販売・受け取り・記録義務が発生するケースは、必ず薬剤師に引き継ぐ